工芸_2
独力の労働結果を意味する工芸
日本の歴史の大半を占める工芸に対する製造形態は、産業自体が現在と比較すると素朴であり、手工業品は一人の人間が一品ごとに制作するのが当たり前で、趣味性や美術性を追求した工芸品から、実用性に徹することによって簡素化されたものまでその存在は多様であった。このような時代では、美術的な付加価値を満たす鑑賞品を上手物(じょうてもの)、簡素な一般向けのものを下手物(げてもの)と呼ばれていた。しかし、簡素な下手物でも普遍的な実用性を満たすものであれば、実利的に供給価値を評価され、幾期にわたって受け継がれ、その中の逸品として生活骨董分野での工芸品として珍重、高値で売買する市場も現在では存在する。現在に於ける工芸は、制作行為を「趣味」と位置づけ、実利の価値を切り離すものや、アート工芸と呼称される実用品に高度な美術性を付加したものが売買されていたり、伝統的な文化遺産として工芸技術の伝承や復興などが行われている場合もある。いずれにしても、工芸は組織形態が生み出す分業作業を通過する事によって成立するものではなく、独力の手作業で一品単位で製造されるものを一般的には指すようである。











