身分移動

オーディション写真哲学と題したこのサイトでは、歴史の上では著しく様相が変化した「芸」という文化について、その背景をもとに実態を明確にしようと試み、執筆にあたっている。この存在は現在では「芸能界」と名付けられ、それをを目指すオーディション族は、業界に身を置くことによって得られる精神的なメリットのために写真を撮影し、積極的にそのオーディション活動を行う大胆な身分移動者とも言える。だが、自身の人格形成に貢献した過去に於ける背景を直視し、その基盤を下に発展を考えているとは思いにくく、、即席のプロ意識の下にそのオーディション活動を行うと言う大胆な身分移動者と捉えることが出来る。メディアに於ける写真というものを理解するためには、社会全体の中に位置する芸能に対して考察を深める必要があり、産業流通機構としての役割を担う媒体という存在に対して、芸と言う名の下に露出活動を展開しているオーディションという行為に対して認識を新たにすべきものと考えられる。それは、日本の文化の変遷から見れば、非常に大胆かつ異常な行動であり、近世日本の士農工商に象徴されるように、階級に対する通念は現在のように柔軟性に富んだものではなく、様々な道徳や倫理の縛りの中で手段を練ってその行為が行われていた事実がある。下記にそれを示す。

百姓や町人の間での階級に対する移動は当時に於いては比較的容易であったと見られ、その事実を示す資料写真に当たるもの等が多数残っている。又、武士の下層(足軽と呼ばれていた。)との間にも稀に行われていたと言われている。但し、武士の中上層には殆どなく、その手段として以下の方法が採られていた。
・婿入りや養子縁組
・帰農
・用人としての雇用。渡り用人
・武家奉公人からの登用
・御家人株の買得
足軽と百姓上層との間にある流動性に着眼し「身分的中間層」と呼ぶ分類も試みられている。
以上のように身分移動をもとに、江戸時代に見られる「自由」に対する新たな見解を発見できるが、制度の弛緩を意味するものではなく、柔軟性の高さが感じられる。これらは現在の社会構造とは一線を画すものであり、この対比に着眼することは現在を知る上で重要な要因と言えるかもしれない。